ナレーター養成コース 審査用原稿について

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スペイン、マドリッドの中心がプエルタ・デル・ソル。

昔、王宮へ続く城門があったところで、 今は街一番の繁華街だ。

このプエルタ・デル・ソルの東のはずれに小さなケープショップがある。

ケープは、日本流にいえばマントのことだが、 かつてケープは、ヨーロッパ上流階級のフォーマルウエアーで、 皆競って、ここマドリッドのケープを愛用していたと云う。

今も残っているのは一軒だけ。

店先に、ピカソやミロのケープをまとっている写真の並んでいるのが、 かえってもの寂しい。

上質のケープは、 スペイン北部のベハールという小さな町で作られるウールが、その材料。

羊毛を刈り、布に織り、色を染め、そして縮める。

何代にもわたってウールを作り続けてきた職人たちの手を経て、 丈夫な生地がマドリッドに送られ、 伝統的なカッティングでケープに加工される。

闘牛士たちがクルリと回って見せる時の優雅な揺れとふくらみ。

生地が軽すぎても重すぎても、あの美しいシルエットは出ないのだろう。

マドリッドに残るたった一軒のケープショップの、19世紀のヨーロッパの空気が、今も息づいているようだ。